わが心あやまちなく 081
原文 読み 意味 帚木05章20@源氏物語
わが心あやまちなくて見過ぐさば さし直してもなどか見ざらむとおぼえたれど それさしもあらじ
わが/こころ/あやまち/なく/て/みすぐさ/ば さしなほし/て/も/などか/み/ざら/む/と/おぼエ/たれ/ど それ/さしも/あら/じ
エ:や行の「え」
(頭中将)こちらに非がなくて事荒立てないのであれば、無理に性根を叩き直してでも一生添い遂げたいと思うものだが、それはできない相談だ。
文構造&係り受け
主語述語と大構造 ど…さしもあらじ:四次
〈[男]〉わが心あやまちなくて見過ぐさば さし直してもなどか見ざらむとおぼえたれど 〈それ〉さしもあらじ
助詞と係り受け
わが心あやまちなくて見過ぐさば さし直してもなどか見ざらむとおぼえたれど それさしもあらじ
「それ」:指示語(「さ」と同じく「さし直す」を受ける)と考えても発語の辞と考えても意味的にはかわらない。
古語探訪;失われた意味を求めて
見過ぐす 02-081
当座は大目に見る。「頼もしげなき疑ひ」をもってすぐに離縁することにしない。
さし直す 02-081
無理に矯正する。
などか見ざらむ 02-081
反語で、添い遂げるの意味。
それさしもあらじ 02-081
人の心を強制して直すことはできない。
〈テキスト〉〈語り〉〈文脈〉の背景
頭中将が諦観に至る曲折
・同じくはわが力入りをし直しひきつくろふべき所なく 心にかなふやうにもや/02-052
・ただひたふるに子めきて柔らかならむ人を とかくひきつくろひてはなどか見ざらむ 心もとなくとも直し所ある心地すべし/02-059
・すこし後れたる方あらむをもあながちに求め加へじ/02-064
左馬頭にことごとく論破された結果、当初から百八十度違う女性観になっている点に注意したい。
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:男(光源氏)/女(葵の上)
直列型:A→B→C→D:A→B→C→D
《わが心あやまちなくて見過ぐさば・さし直してもなどか見ざらむ》A・B
こちらに非がなくて事荒立てないのであれば、無理に性根を叩き直してでも一生添い遂げたい
《とおぼえたれど・それさしもあらじ》C・D
と思うものだが、それはできない相談だ。