わが心あやまちなく 081

2021-03-08

原文 読み 意味 帚木05章20@源氏物語

わが心あやまちなくて見過ぐさば さし直してもなどか見ざらむとおぼえたれど それさしもあらじ

わが/こころ/あやまち/なく/て/みすぐさ/ば さしなほし/て/も/などか/み/ざら/む/と/おぼエ/たれ/ど それ/さしも/あら/じ

エ:や行の「え」

(頭中将)こちらに非がなくて事荒立てないのであれば、無理に性根を叩き直してでも一生添い遂げたいと思うものだが、それはできない相談だ。

文構造&係り受け

主語述語と大構造 ど…さしもあらじ:四次

〈[男]〉わが心あやまちなくて見過ぐさ さし直してもなどか見ざらむとおぼえたれ 〈それ〉さしもあらじ

助詞と係り受け

わが心あやまちなくて見過ぐさば さし直してもなどか見ざらむとおぼえたれど それさしもあらじ

「それ」:指示語(「さ」と同じく「さし直す」を受ける)と考えても発語の辞と考えても意味的にはかわらない。

古語探訪;失われた意味を求めて

見過ぐす 02-081

当座は大目に見る。「頼もしげなき疑ひ」をもってすぐに離縁することにしない。

さし直す 02-081

無理に矯正する。

などか見ざらむ 02-081

反語で、添い遂げるの意味。

それさしもあらじ 02-081

人の心を強制して直すことはできない。

〈テキスト〉〈語り〉〈文脈〉の背景

頭中将が諦観に至る曲折

・同じくはわが力入りをし直しひきつくろふべき所なく 心にかなふやうにもや/02-052
・ただひたふるに子めきて柔らかならむ人を とかくひきつくろひてはなどか見ざらむ 心もとなくとも直し所ある心地すべし/02-059
・すこし後れたる方あらむをもあながちに求め加へじ/02-064
左馬頭にことごとく論破された結果、当初から百八十度違う女性観になっている点に注意したい。

耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉

語りの対象:男(光源氏)女(葵の上)

直列型:A→B→C→D:A→B→C→D

わが心あやまちなくて見過ぐさば・さし直してもなどか見ざらむ》A・B
こちらに非がなくて事荒立てないのであれば、無理に性根を叩き直してでも一生添い遂げたい


とおぼえたれど・それさしもあらじ》C・D
と思うものだが、それはできない相談だ。

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