大液芙蓉未央柳も 093 ★★★
原文 読み 意味 桐壺07章13(92・93共通)
(絵に描ける楊貴妃の容貌は いみじき絵師といへども 筆限りありければ いとにほひ少なし)
大液芙蓉未央柳も げに通ひたりし容貌を 唐めいたる装ひはうるはしうこそありけめ なつかしうらうたげなりしを思し出づるに 花鳥の色にも音にも よそふべき方ぞなき
(ゑ/に/かけ/る/やうきひ/の/かたち/は いみじき/ゑし/と/いへ/ど/も ふで/かぎり/あり/けれ/ば いと/にほひ/すくなし)
たいえき-の-ふよう/びやう-の-やなぎ/も げに/かよひ/たり/し/かたち/を からめい/たる/よそひ/は/うるはしう/こそ/あり/けめ なつかしう/らうたげ/なり/し/を/おぼし-いづる/に はな/とり/の/いろ/に/も/ね/に/も よそふ/べき/かた/ぞ/なき
(絵に描かれた楊貴妃の容姿は、すぐれた絵師であっても、筆力には限界があるので、まことに生気に乏しい。)
太液池の芙蓉や未央宮の柳も、詩にいう通り楊貴妃の顔立ちを彷彿とさせるものの、唐風に装うのでは整った美を呈しこそすれ、親しみやすく愛らしかったあの方の姿や声を思い出しになられるにつけ、花の色や鳥の鳴き声に、なぞらえ得る所は見つからないのでした。
文構造&係り受け
助詞と係り受け(92・93共通)
(絵に描ける楊貴妃の容貌は いみじき絵師といへども 筆限りありければ いとにほひ少なし)
大液芙蓉未央柳も げに通ひたりし容貌を 唐めいたる装ひはうるはしうこそありけめ なつかしうらうたげなりしを思し出づるに 花鳥の色にも音にも よそふべき方ぞなき
※ 注釈・助詞・助動詞・敬語の区別などの説明は092参照
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉(92・93共通)
語りの対象:長恨歌屏風の楊貴妃/絵師/長恨歌屏風の芙蓉と柳/楊貴妃/桐壺更衣/帝
分岐型・中断型・反復型:A→(B→)C|D→(E→F→)~DG→H
《絵に描ける楊貴妃の容貌は》A
絵に描かれた楊貴妃の容姿は、
《いみじき絵師といへども 筆限りありければ》B
すぐれた絵師であっても、筆力には限界があるので、
《いとにほひ少なし》C
まことに生気に乏しい。
《大液芙蓉未央柳も》 D
太液池の芙蓉や未央宮の柳も、
《げに通ひたりし容貌を 唐めいたる装ひはうるはしうこそありけめ》 E
詩にいう通り楊貴妃の顔立ちを彷彿とさせるものの、唐風に装うのでは整った美を呈しこそすれ、
《なつかしうらうたげなりしを思し出づるに》F
親しみやすく愛らしかったあの方の姿や声を思い出しになられるにつけ、
《花鳥の色にも 音にも》G
花の色や鳥の鳴き声に、
《よそふべき方ぞなき》H
なぞらえ得る所は見つからないのでした。