荒き風 ふせぎし 086 ★★★
原文 読み 意味 桐壺07章06(85・86共通)
(御返り御覧ずれば いともかしこきは置き所もはべらず かかる仰せ言につけても かきくらす乱り心地になむ)
荒き風 ふせぎし蔭の枯れしより 小萩がうへぞ静心なき
などやうに乱りがはしきを 心をさめざりけるほどと御覧じ許すべし
(おほむ-かへり/ごらんずれ/ば いと/も/かしこき/は/おきどころ/も/はべら/ず かかる/おほせごと/に/つけ/て/も かき-くらす/みだりごこち/に/なむ)
あらき/かぜ/ふせぎ/し/かげ/の/かれ/し/より こはぎ/が/うへ/ぞ/しづごころ/なき
など/やう/に/みだりがはしき/を こころ/をさめ/ざり/ける/ほど/と/ごらんじ/ゆるす/べし
(母君からの返書をご覧になる、なんとも恐れ多い仰せ事は捨て置くこともできません。あのようなお言葉を戴くにつけても一面の闇に心は乱れるばかりで、)
表の歌意:強風をふせいでくれた木が枯れたのでそれ以来、小萩の身の上が心配でなりません。どうか若宮のことをお願いします。
裏の歌意:宮中を揺るがす嵐で娘が亡くなってからというもの帝は平静さを失ってしまわれた、どうか若宮のことをもっと気にかけて下さい。
などと不謹慎な詠みぶりに、気持ちが収まらない折りだからと帝は大目に見ておいでのようでした。
文構造&係り受け
助詞と係り受け(85・86共通)
(御返り御覧ずれば いともかしこきは置き所もはべらず かかる仰せ言につけても かきくらす乱り心地になむ)
荒き風 ふせぎし蔭の枯れしより 小萩がうへぞ静心なき
などやうに乱りがはしきを 心をさめざりけるほどと御覧じ許すべし
※ 注釈・助詞・助動詞・敬語の区別などの説明は085参照
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉(85・86共通)
語りの対象:母君/帝/対抗勢力/桐壺更衣/(歌意表)光源氏・(歌意裏)父帝
分岐型・中断型:A→(B→|C→D→)E→F:A→E→F、B、C→D→E
《御返り御覧ずれば》 A
母君からの返書をご覧になる、
《いともかしこきは置き所もはべらず》 B
なんとも恐れ多い仰せ事は捨て置くこともできません。
《かかる仰せ言につけても かきくらす乱り心地になむ》C
あのようなお言葉を戴くにつけても一面の闇に心は乱れるばかりで、
《荒き風 ふせぎし蔭の枯れしより 小萩がうへぞ静心なき》 D
表の歌意:強風をふせいでくれた木が枯れたのでそれ以来、小萩の身の上が心配でなりません。どうか若宮のことをお願いします。
裏の歌意:宮中を揺るがす嵐で娘が亡くなってからというもの帝は平静さを失ってしまわれた、どうか若宮のことをもっと気にかけて下さい。
《などやうに乱りがはしきを》 E
などと不謹慎な詠みぶりに、
《心をさめざりけるほどと御覧じ許すべし》F
気持ちが収まらない折りだからと帝は大目に見ておいでのようでした。