これは 人の御際ま 134 ★☆☆
原文 読み 意味 桐壺09章08@源氏物語
これは 人の御際まさりて 思ひなしめでたく 人もえおとしめきこえたまはねば うけばりて飽かぬことなし かれは 人の許しきこえざりしに 御心ざしあやにくなりしぞかし
これ/は ひと/の/おほむ-きは/まさり/て おもひなし/めでたく ひと/も/え/おとしめ/きこエ/たまは/ね/ば うけばり/て/あか/ぬ/こと/なし かれ/は ひと/の/ゆるし/きこエ/ざり/し/に み-こころざし/あやにく/なり/し/ぞ/かし
エ:や行の「え」
こちらは位が格段に高く、宮中の評判がよく女御たちも貶め申さないので、だれ憚ることなく不足をお感じになることがない。あちらは、周りが認めないものだから、帝のご寵愛が更衣には逸脱したものと感じられたでしょう。
文構造&係り受け
主語述語と大構造 は…ばうけばりて飽かぬことなし:二次|は…に…あやにくなりしぞかし:二次
〈これ〉は 〈人の御際〉まさりて 〈思ひなし〉めでたく 〈人〉もえおとしめきこえたまはねば うけばりて飽かぬことなし | 〈かれ〉は 〈人の〉許しきこえざりしに 〈御心ざし〉あやにくなりしぞかし
助詞と係り受け
これは 人の御際まさりて 思ひなしめでたく 人もえおとしめきこえたまはねば うけばりて飽かぬことなし かれは 人の許しきこえざりしに 御心ざしあやにくなりしぞかし
「これは…うけばりて飽かぬことなし」「かれは…御心ざしあやにくなりしぞかし」:対の表現で、藤壺の宮と桐壺更衣の対比
これは 人の御際まさりて 思ひなしめでたく 人もえおとしめきこえたまはねば うけばりて飽かぬことなし かれは 人の許しきこえざりしに 御心ざしあやにくなりしぞかし
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助詞・助動詞の識別:ね ぬ ざり し し
- ね:打消・ず・已然形
- ぬ:打消・ず・連体形
- ざり:打消・ず・連用形
- し:過去・き・連体形
- し:過去・き・連体形
敬語の区別:御 きこゆ たまふ きこゆ 御
これは 人の御際まさりて 思ひなしめでたく 人もえおとしめきこえたまはね ば うけばりて飽かぬことなし かれは 人の許しきこえざり し に 御心ざしあやにくなりし ぞ かし
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪;失われた意味を求めて
際 01-134
ランク、身分。
思ひなし 01-134
「思ひなす」の名詞形。人の判断、先入観。
人もえおとしめきこえたまはね 01-134
尊敬語の使用から「人」は女御クラス。
うけばり 01-134
「憚る」の反意語。でしゃばる。自信をもって振る舞う。
飽かぬことなし 01-134
満足しないことがない。「御心ざしあやにく」との対比。
人の許しきこえざりし 01-134
尊敬語の使用がないから「人」は更衣以下。藤壺の宮に対しては上流夫人もおとしめることができず、桐壺更衣に対しては、身分の高くない人も寛容さをもって接することがなかった。
御心ざし 01-134
帝の愛情。
あやにく 01-134
期待・見込みを大幅に裏切る。「うけばりて飽かぬことなし」が藤壺に関することであるなら、対の表現である「御心ざしあやにくなりしぞかし」は桐壺に関することとして解釈しなければならない。よって、帝の愛情が度を越してしまったではなく、桐壺にとって度を越したものとなった、となる。
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:藤壺の宮/世間の態度/桐壺更衣/帝
中断型:A→B|C→D:A→B、C→D
《これは 人の御際まさりて 思ひなしめでたく人もえおとしめきこえたまはねば・うけばりて飽かぬことなし》A・B
こちらは位が格段に高く、宮中の評判がよく女御たちも貶め申さないので、だれ憚ることなく不足をお感じになることがない。
《かれは 人の許しきこえざりしに・御心ざしあやにくなりしぞかし》C・D
あちらは、周りが認めないものだから、帝のご寵愛が更衣には逸脱したものと感じられたでしょう。