宮腹の中将は なか 006 ★☆☆
原文 読み 意味 帚木01章06@源氏物語
宮腹の中将は なかに親しく馴れきこえたまひて 遊び戯れをも 人よりは心安く なれなれしく振る舞ひたり
みやばら/の/ちうじやう/は なか/に/したしく/なれ/きこエ/たまひ/て あそび/たはぶれ/を/も ひと/より/は/こころやすく なれなれしく/ふるまひ/たり
エ:や行の「え」
皇女腹の頭中将は中でも若君に親しくお慣れ申して、公の催しや私的な座興の場でも他の人よりは心安く馴れ馴れしく振る舞っていた。
文構造&係り受け
主語述語と大構造 は…をも…よりは…振る舞ひたり:二次
〈宮腹の中将〉は なかに親しく馴れきこえたまひて 遊び戯れをも 人よりは心安くなれなれしく振る舞ひたり
助詞と係り受け
宮腹の中将は なかに親しく馴れきこえたまひて 遊び戯れをも 人よりは心安く なれなれしく振る舞ひたり
「心安く」「なれなれしく」(並列)→「振る舞ひたり」
古語探訪;失われた意味を求めて
心安く 02-006:中止法か連用法か
文構造としては、「心安く」で切る読み方(連用中止法)と、「振る舞ひたり」にかける連用修飾の二つの読み方が可能である。連用中止法と考えると、頭中将と光源氏は心安かったことが既定の事実となり、修飾語であれば頭中将は光源氏に対して心安く接したが、光源氏の方からも心安かったかどうかは不明となる。どちらがよいかは、頭中将と光源氏の関係をどうとらえるか、物語全体に関わる問題である。わたしは光源氏は頭中将に心を開くことはなかったと考えるので、中止法の読み方は採用できない。
なれなれしく振る舞ひたり 02-006:身分差を乗り越える性格
光源氏が「いといたく世を憚りまめだちたまひける/02-002」性格であるのと対照的に、やや軽い性格に設定されている点を見逃してはならない。このあと展開される雨夜の品定めも、この点を考慮に入れて読む必要がある。
宮腹 02-006
頭中将の実母(左大臣の正妻)は、今上帝(光源氏の父)と同母の兄弟。
遊び 02-006
管弦の宴。
戯れ 02-006
「遊び」よりもっと私的な場であろう。
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:頭中将/左大臣の他の息子たち
直列型:A→B:A→B
《宮腹の中将は なかに親しく馴れきこえたまひて》A
皇女腹の頭中将は中でも若君に親しくお慣れ申して、
《遊び戯れをも 人よりは心安く なれなれしく振る舞ひたり》B
公の催しや私的な座興の場でも他の人よりは心安く馴れ馴れしく振る舞っていた。