母御息所も影だにお 137
原文 読み 意味 桐壺09章11@源氏物語
母御息所も影だにおぼえたまはぬを いとよう似たまへりと典侍の聞こえけるを 若き御心地にいとあはれと思ひきこえたまひて 常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばやとおぼえたまふ
はは-みやすむどころ/も/かげ/だに/おぼエ/たまは/ぬ/を いと/よう/に/たまへ/り/と/ないし-の-すけ/の/きこエ/ける/を わかき/み-ここち/に/いと/あはれ/と/おもひ/きこエ/たまひ/て つね/に/まゐら/まほしく なづさひ/み/たててまつら/ばや/と/おぼエ/たまふ
母の御息所のことは面影さえ覚えておられなかったが、とてもよく似ておいでですと、典侍が申し上げたのを、幼き御心にとても恋しいと思い申し上げになって、常に側へ参りたい、心うちとけ拝顔したいと願われたものです。
文構造&係り受け
主語述語と大構造 とおぼえたまふ:四次
〈[光源氏]〉母御息所も影だにおぼえたまはぬを @いとよう似たまへりと〈典侍の〉聞こえけるを@ 若き御心地にいとあはれと思ひきこえたまひて 常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばやとおぼえたまふ
助詞と係り受け
母御息所も影だにおぼえたまはぬを いとよう似たまへりと典侍の聞こえけるを 若き御心地にいとあはれと思ひきこえたまひて 常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばやとおぼえたまふ
「おぼえたまはぬを」→「いとあはれと思ひきこえたまひて」
「典侍の聞こえけるを」→「いとあはれと思ひきこえたまひて」
母御息所も影だにおぼえたまはぬを いとよう似たまへりと典侍の聞こえけるを 若き御心地にいとあはれと思ひきこえたまひて 常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばやとおぼえたまふ
助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞
助詞・助動詞の識別:ぬ り ける まほしく
- ぬ:打消・ず・連体形
- り:存続・り・終止形
- ける:喚起・けり・連体形
- まほしく:希望・まほし・連用形
敬語の区別:御 たまふ たまふ 聞こゆ 御 きこゆ たまふ 参る たてまつる たまふ
母御息所も影だにおぼえたまはぬ を いとよう似たまへり と典侍の聞こえける を 若き御心地にいとあはれと思ひきこえたまひて 常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばや とおぼえたまふ
尊敬語 謙譲語 丁寧語
古語探訪;失われた意味を求めて
なづさひ 01-137
水に浸ると水が体にまとわるように相手にまとわる。
耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉
語りの対象:桐壺更衣/光源氏/藤壺の宮/典侍
直列型:A→B→C→D:A→B→C→D
《母御息所も影だにおぼえたまはぬを》A
母の御息所のことは面影さえ覚えておられなかったが、
《いとよう似たまへりと典侍の聞こえけるを・若き御心地にいとあはれと思ひきこえたまひて》B・C
とてもよく似ておいでですと、典侍が申し上げたのを、幼き御心にとても恋しいと思い申し上げになって、
《常に参らまほしく なづさひ見たてまつらばやとおぼえたまふ》D
常に側へ参りたい、心うちとけ拝顔したいと願われたものです。