今は誰れも誰れもえ 114

2021-03-09

原文 読み 意味 桐壺08章09@源氏物語

今は誰れも誰れもえ憎みたまはじ 母君なくてだにらうたうしたまへ とて弘徽殿などにも渡らせたまふ御供には やがて御簾の内に入れたてまつりたまふ

いま/は/たれ/も/たれ/も/え/にくみ/たまは/じ ははぎみ/なく/て/だに/らうたう/し/たまへ と/て/こうきでん/など/に/も/わたら/せ/たまふ/おほむ-とも/に/は やがて/み-す/の/うち/に/いれ/たてまつり/たまふ

今はもう誰もお憎みなさることが決してない。母君がいないだけでも可愛がってお上げなさいと、弘徽殿などへもお渡りになるお供とされる時には、そのまま御簾の中に入れて差し上げになるのです。

文構造&係り受け

主語述語と大構造 憎みたまはじ:一次に入れたてまつりたまふ:三次

は〈誰れ〉も〈誰れ〉もえ憎みたまはじ〈[帝]〉〈母君〉なくてだにらうたうしたまへ とて弘徽殿などにも渡らせたまふ御供には やがて御簾の内に入れたてまつりたまふ

助詞と係り受け

今は誰れも誰れもえ憎みたまはじ 母君なくてだにらうたうしたまへ とて弘徽殿などにも渡らせたまふ御供には やがて御簾の内に入れたてまつりたまふ

今は誰れも誰れもえ憎みたまはじ:「じ」に命令形はないから終止形であり、地の文と考えることになる。命令形を許せば、帝の発言となるが、この文の「誰れも誰れも」と共通する「誰れも誰れも思ひきこえたまへり/01-117」は地の文だから、この文も地の文と考えるのがよいだろう。


「とて」→「御簾の内に入れたてまつりたまふ」


「御供には」→「入れたてまつりたまふ」

誰れ誰れえ憎みたまは 母君なくだにらうたうしたまへ 弘徽殿など渡らたまふ御供 やがて御簾入れたてまつりたまふ

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助詞・助動詞の識別:じ せ

  • :打消推量・じ・終止形
  • :尊敬・す・連用形
敬語の区別:たまふ たまふ せたまふ 御 御 たてまつる たまふ

今は誰れも誰れもえ憎みたまはじ 母君なくて だにらうたうしたまへ とて弘徽殿など に も渡らせたまふ 供に は やがて簾の内に入れたてまつりたまふ

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪;失われた意味を求めて

じ 01-114

二人称に対して否定の勧誘。…しないように。

母君なくてだに 01-114

母がいないというだけで大変なのだから。

らうたう 01-114

労多しが原義で、いたわる気持ち。

弘徽殿などにも渡らせたまふ 01-114

「弘徽殿などにも渡らせたまふ」で文を切るテキストがあるが、「とて」「渡らせたまふ」では意味をなさない。

やがて 01-114

そのまま。元服するまでは、光の君は帝の夫人たちの部屋に入ることが許された。これが引いて藤壺との密通につながる。

耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉

語りの対象:弘徽殿の女御や他の女御更衣たち光源氏

直列型:A→B:A→B

今は誰れも誰れもえ憎みたまはじ 母君なくてだにらうたうしたまへ とて》A
今はもう誰もお憎みなさらぬよう。母君がいないだけでも可愛がってお上げなさいと、


弘徽殿などにも渡らせたまふ御供には やがて御簾の内に入れたてまつりたまふ》B
弘徽殿などへもお渡りになるお供とされる時には、そのまま御簾の中に入れて差し上げになるのです。

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