女御とだに言はせず 041

2021-03-07

原文 読み 意味 桐壺04章06@源氏物語

女御とだに言はせずなりぬるが あかず口惜しう思さるれば いま一階の位をだにと 贈らせたまふなりけり

にようご/と/だに/いは/せ/ず/なり/ぬる/が あかず/くちをしう/おぼさ/るれ/ば いま/ひと-きざみ/の/くらゐ/を/だに/と おくら/せ/たまふ/なり/けり

生前后(きさき)はおろか女御とさえ呼ばせずに終ったことが、残念でならぬとお考えなので、せめて一階級だけでもと贈られたのです。

文構造&係り受け

主語述語と大構造 ば…と…贈らせたまふなりけり:三次

〈[帝]〉@女御@とだに言はせずなりぬる〈[の]〉が あかず口惜しう思さるれ @いま一階の位をだに@ 贈らせたまふなりけり

助詞と係り受け

女御とだに言はせずなりぬるが あかず口惜しう思さるれば いま一階の位をだにと 贈らせたまふなりけり

  • (女御)とだに言はせずなりぬる→あかず口惜しう思さる+→(いま一階の位をだに)と贈らせたまふなりけり

「言はせずなりぬるが」(主格「が」)/「あかず口惜しう」:主語/述語

女御だに言はなりぬる あか口惜しう思さるれ いま一階だに 贈らたまふなりけり

助詞:格助 接助 係助 副助 終助 間助 助動詞

助詞・助動詞の識別:せ ず ぬる ず るれ せ なり けり

  • :使役・す・連用形/周囲の人々に対する使役。桐壺に対しての使役であれば対象敬語である謙譲語が入らなければならない。
  • :打消・ず・連用形
  • ぬる:完了・ぬ・連体形
  • :打消・ず・連用形
  • るれ:自発・る・已然形
  • :尊敬・す・連用形/「せたまふ」:最高敬語
  • なり:断定・なり・連用形
  • けり:喚起・けり・終止形
敬語の区別:思す たまふ

女御と だに言はせ ずなりぬる が あかず口惜しう思さるれ ば いま一階の位をだに と 贈らせたまふなり けり

尊敬語 謙譲語 丁寧語

古語探訪;失われた意味を求めて

だに 01-041

最低限の願望、せめて。できるなら皇后や中宮に選び、光の君を東宮にさせてやりたかったとの帝の思い。「来し方行く末思し召されず、よろづのことを泣く泣く契りのたまはすれど(後先のわきまえもなく、どんな誓いをも涙ながらにお立てになるのですが)/01-028」で帝は口約束をしている。おそらくその手のことは、幾度となく口にしていたろう、そのことを思い出している。

言はせず 01-041

帝が桐壺更衣に自分を女御と呼ばせる。「せ」は使役。

あかず 01-041

飽くことなく、不満で。

口惜しう 01-041

期待に反する結果となり運命を恨む気持ち。

一階の位 01-041

正四位上から従三位(じゅさんみ)になった。これは更衣クラスから女御クラスに昇進したことを意味する。

耳からの情報伝達;立ち現れる〈モノ〉

語りの対象:

直列型:A→B→C:A→B→C

女御とだに言はせずなりぬるが・あかず口惜しう思さるれば》A・B
生前后(きさき)はおろか女御とさえ呼ばせずに終ったことが、残念でならぬとお考えなので、


いま一階の位をだにと贈らせたまふなりけり》 C
せめて一階級だけでもと贈られたのです。

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